「小山実稚恵の世界」ピアノで綴るロマンの旅
第11回 研ぎ澄まされる耳、指先
イメージカラー:薄い深緑
瞑想の世界・頭の中に満ちる虹
薄紫の霧がかかっている
そこにいるのは、誰なのだろう
じっと目をつむると
鮮やかな香りと音がせまってくる
水の精は
ひらりと身をかわし
泡となって消えてゆく
はかなくも鮮やかな
幻想の中に
【前奏曲・練習曲シリーズII】
・ドビュッシー:12の練習曲集より
・ショパン:1練習曲集 作品10より
ドビュッシー:練習曲 第1集 第1番「5本の指のための」
ドビュッシー:練習曲 第1集 第3曲「4度音程のための」
ショパン:練習曲 作品10 第10曲 変イ長調
ドビュッシー:練習曲 第2集 第10曲「対比的な響きのための」
ショパン:練習曲 作品10 第4曲 嬰ハ短調
ドビュッシー:練習曲 第2集 第8曲「装飾音のための」
ショパン:練習曲 作品10 第8曲 ヘ長調
ショパン:練習曲 作品10 第6曲 変ホ短調
ドビュッシー:練習曲 第2集 第7曲「半音階のための」
ドビュッシー:練習曲 第1集 第2曲「3度音程のための」
ショパン:練習曲 作品10 第12曲 ハ短調「革命」
ショパン:練習曲 作品10 第1曲 ハ長調
《休憩》
・ドビュッシー:前奏曲 第1集 & 第2集 より
第2集 第1曲「霧」
第1集 第1曲「デルフィの舞姫たち」
第2集 第4曲「妖精たちはあでやかな舞姫」
第2集 第8曲「水の精」
第1集 第4曲「音と香りは夕暮れの大気に漂う」
第1集 第3曲「野を渡る風」
第2集 第3曲「ヴィーノの門」
第1集 第7曲「西風の見たもの」
第1集 第10曲「沈める寺」
第2集 第12曲「花火」
第1集 第5曲「アナカプリの丘」
第1集 第8曲「亜麻色の髪の乙女」
encore
ショパン:練習曲 作品10-5 変ト長調「黒鍵」
ラフマニノフ:前奏曲 作品23-6 変ホ長調
リスト:パガニーニによる第練習曲より 第3番「ラ・カンパネラ(鐘)」
#%E:259%# 本日のお花 #%E:259%#
ギガンジウム
ラークスパー(オーロララヴェンダー)
スターチス(ヴァイオレット)
トルコキキョウ(薄ヴァイオレット)
リューココリネ(ヴァイオレット)
バラ(ヴァイオレット)
スモークツリー(レッド)
ドウダンツツジ
ドラセナ
モンステラ
毎年欠かせなくなっている、「小山実稚恵の世界」シリーズ。
今回も楽しみに足を運びました。
前回はアンコールを聴けなかったので、今日はそのリベンジの気持ちも十分にありました#%E:187%#
前回の分も存分に楽しんでこようと…。
このシリーズのコンサートも折り返し地点を迎え…何と第11回にして初めて、ドビュッシーが登場するのですッ#%E:684%#
小山さんのドビュッシーは聴いたことがなかったので、このシリーズの存在を知り、曲目を見てからずっと(ということは5年間くらい?)楽しみにしていました。
プログラムを見ていただければ分かる通り、第1部も第2部も曲の順番がばらばらです。
これは小山さんがこだわって配列した曲順。
「各曲の特徴が聞こえてくるよう演奏の順番に工夫を凝らしました」
というコメントもあり。
後半のドビュッシーの前奏曲の順序は、「幻想~現実」だそうな。
小山さん自身、ドビュッシーに対して持っている印象が「霧」。
霧がかかったかのように全容の見えない「幻想の世界」だと感じておられ、霧の中から伝説の妖精たちが現れてその世界に誘ってくれる…という印象をお持ちのようです。
宿命に反し、人間を愛してしまい魂を持ってしまった「水の精」のエピソードも根底にあるようです。
今回のステージのお花は赤みがかった薄紫。
小山さんのドレスは青みがかった薄紫。
どちらも紫色で、ちょうど季節柄、紫陽花の花の色のようにも感じられました。
さてさて。。。
第1部の不思議な演奏配列。
前口上的な扱いをされているドビュッシーの練習曲「5本の指のための」。
煌めく音と卓越したテクニックであっという間に聴衆を魅了。
この曲の後、立ち上がってお辞儀。
それから先はノンストップでした。
ドビュッシーとショパン、一見タイプの違う作曲家の曲が織り交ぜられていたら、違和感があるのでは?と思ったのですが…。
面白いくらい曲と曲との間が自然でした。
小山さんの創意工夫が見えるプログラミングなのがよく分かりました。
ショパンの練習曲Op.10-4は、前の曲の幻想的な雰囲気を一掃するかのような、雷のようなキレ味がありました。
客席からブラボー&拍手が起こったくらいです!
しかも内声に隠れた対旋律を敢えて浮き彫りにしていたのには驚き!
その前の曲が「対比的な響きの」だったからか?と勝手に想像しちゃいましたが…。
同じようなことがそのあとに続き…。
「3度音程のための」のあとに、「革命」というきっぱりとしたハ短調に色が変化するその鮮やかさ、そのあとに来る練習曲Op.10-1の煌めき。
圧倒されました。
パンフレットに書いてあった、小山さん自身の曲解説に、このOp.10-1の曲の素晴らしさと、「大天才ショパン」という最大の敬意を表した言葉が綴られていました。
これ以上の練習曲はないと思ったので、前半のトリにこの曲をもってきたのだそうです。
後半はドビュッシーの前奏曲。
掴みどころのない「霧」から始まり、「亜麻色の髪の乙女」で締める。
小山さんも意図した通り、12曲でひとつの物語が語られてように思います。
小山さんのドビュッシーって想像もつかなかったのですが…。
まるで曲が生きているかのような感じがしました。
色の陰影が複雑につき、絵画を次々に見せてもらっているかのよう。
妖艶な「音と香りは夕暮れの大気に漂う」、荒々しい「西風の見たもの」、壮大な「沈める寺」、音が弾け飛ぶ「花火」、この流れの最後にくる「亜麻色の髪の乙女」は、あどけない少女の純粋な美しさそのものが描かれているかのような柔らかさと繊細さ…。
感動ものでした。
そして…アンコール。
超高速の「黒鍵」で圧倒された後…。
大好きなラフマニノフの前奏曲Op.23-6がくるとは!!
音の艶やかさと美しさ、流れるフレーズに感動して、ボロボロと涙を流してしまいました#%E:175%#
そして今年がリストイヤーであることを象徴するかのような「ラ・カンパネラ」。
その気迫に満ちた演奏は、まるで小山さん自身から白い炎がめらめらと立ち上っているかのような印象を受けるもの。
火を噴くリストは多そうですが、その炎を美しく立ちのぼらせることが出来る演奏家はそんなにいないような気がします#%E:342%#
来年は1月の公演。
何と何と!!ラフマニノフが来るのだーーーー!!!
今回のアンコールではボロ泣きするほどの素晴らしい演奏…。
それが本編で聴けるのか…#%E:684%#
今から鼻の穴がおっ広がるほどのコーフンに満ち溢れておりますッ#%E:429%#
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